電子・光工学実験2(3年生)

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電子回路や光の実験

電子・光システム工学実験2は,3年生向けの実験講義です. 2年生に行った実験につづいて,電子・光の専門座学で学ぶ内容の基礎となる基本的考え方や手法を自らの手を動かすことで体験的に学びます.あわせて講義・演習を交えて教科への理解を深めることを目的としています.2年生での工学実験よりも高度で,そして専門的になった実験を実際に行ってみることによって,将来の卒業研究の準備も兼ねて学んでいきます.また,テキストを読むだけでは理解しにくい測定器の利用方法や,パソコンを使った実験のシミュレーションなどにも学ぶことができます.これらを身につけて自分のものにしていくことが楽しい学びにつながります.電子・光に関連するさまざまな課題について,班に分けて実験を行っています.通常の講義と違って,実際に回路・プログラムなどをつくりながら楽しく学んでいけます.


実験の紹介その1 
~Picを用いたLED点滅回路の計測と製作~

PICと呼ばれるマイクロプロセッサのICをつかって,LEDライトをコントロールする実習です.教科書に習いながら,先輩たちや先生にアドバイスをもらいながら,回路やプログラムを作成して実習を進めていきます.LEDのコントロールは家電や電気自動車など電気製品分野の回路を作成・コントロールする基本技術なので,みんな楽しく真剣に取り組んでいます.この実験では,カラーLEDをコントロールするので,さまざまな色を出しています.今は,車の電気で動く時代です!!そのコントローラの作り方を実験で学べるのも電子・光ならではの実験ですね.未来のロボットもコントロールできるかもしれません.

PICとは?

マイクロチップ・テクノロジー社 (Microchip Technology Inc.) が製造しているマイクロコントローラ(制御用IC)の名前です.

PICにはCPU(計算回路),メモリ (RAM, ROM),I/Oなどが1チップになってます.C言語プログラムで回りの回路を制御できます.回路構成が簡単で安いチップです.

他のマイクロコントローラと比べて簡単にインターネット上で情報を見つけることができます.関連の本も豊富で,PICそのものの簡単にインターネットで買えるので,電子工作用として人気があります.

LEDとは?

LEDとはLight Emitting Diodeの頭文字. 文字通り「光る半導体」の略称です. 組成は違いますが,トランジスタやICなどの半導体と同じ仲間です. 寿命が長く,消費電力が少ない特長を持っています.

照明・電球・ライト・テレビなど幅広い分野で利用されいます. LED電球は白熱球や蛍光灯などと比べて紫外線を出さないため虫などを寄せ付けにくく,照明器具のメンテナンス回数も軽減できる, 外部からの衝撃にも白熱電球,蛍光灯などに比べて強いとされてます.

そのため使い勝手が良い,保管もしやすいといったメリットがあります.

コントロールは簡単?

PWMとは,pulse width modulationeの頭文字をとった呼び名です.日本語では,パルス幅変調と言います. 電圧のOn-Off(Hight電圧-Low電圧)の繰り返しの時間長さを変化させる信号を言います. OnとOffの時間長さを上手にコントロールすることで,LEDの明るさやモーターの回転速度など,さまざまなモノの 電気制御に使われています.

On-Offの時間比をデューティ―比,全体の長さを周期と言います.これらの制御を回路やマイコンのプログラムを使って行います.


実験の紹介その2
 ~生体光計測装置の作成と実測~

光で脈を計測する実験です.フォトリフレクタと呼ばれる赤外線(光)を発生する素子を使って,脈を測定します.画面で脈の波形がみんな出ています.電子・光が医療に使われていることを実感できる実験です.脈波が見えると感動します.教科書に沿って進められるので,とっても楽しくできます.実験は2人一組の班で行って,レポート(報告書)にまとめていきます.光で脈を計測できるなんて不思議ですね.電子・光システム工学で学べる技術の一つです.自分の体の中を少しわかるかもしれません.

脈とは?

1日に約10万回心臓は一定のリズムで拍動を繰り返し、全身に血液を送り出しています。この拍動が手首などの動脈に伝わったものが、脈と言われます。

拍動の源は、心臓内の洞結節という場所から発生する電気刺激です。この刺激によって心臓の筋肉が収縮と拡張を繰り返し、拍動が生まれます。

健康な成人の場合、安静時の脈は1分間に50~100回程度。個人差はありますが、70回前後の人が多いです。運動したり、緊張したりすると速くなり、就寝時やリラックスしているときは遅くなります。

また、心臓などの病気があっても、速さやリズムが乱れます。実験では、光を使って脈を計測します。

赤外線とは?

人間の視覚は、波長の長い光を赤色光として感じとるが、その上限は 760 - 830 nm 付近とされ、それより波長の長い光は知覚できず、可視光線の赤色の外側という意味で

赤外線という。ミリ波長の電波よりも波長の短い電磁波全般を指し、波長ではおよそ0.7 μm - 1 mm (=1000 μm) に分布する。

さらに、波長によって、近赤外線、中赤外線、遠赤外線に分けられる。それぞれの波長区分は学会によって若干異なり、下記の区分はその一例である(例えば天文学では10 μmくらいまでが中赤外線として扱われることが多い)。

フォトリフレクタって何?

物体に光を当てて、反射してきた光を検出することで、物体の有無、位置を判定するセンサを、フォトリフレクタと呼ぶ。メーカーによっては「反射型フォトインタラプタ」と呼んでいる所もある。

フォトインタラプタよりさらに外乱光の影響を受けやすい構造なので、光に変調を掛けて、外乱光との判別をしている製品が多い。


実験の紹介その3
 ~デジタル変復調の実験とシミュレーション~

スマホやタブレットに使われているデータ送信では,必ず変復調の技術が使われています.データ情報を送信波に乗せて送る技術です.電子・光システム工学実験では,この技術も実験しながら基本から体験的に学んでいけます.先輩の指導も受けながら集中して取り組むことができます.また,パソコンを使ったシミュレーションも同時に行うことで,基礎と応用の両側面をイメージしながら実験を進められます.未来の夢も載せて送信できるかもしれませんね!!

データ送信と送信波

送信機(そうしんき)は情報を送り出す電気通信装置を指します。無線通信における送信機を示すことが多いです.

無線送信機は高周波信号を発生させる回路、信号を所定の電力まで増大させる増幅回路、および情報を高周波信号に乗せる変調回路により主に構成されています。

電波法とその各種関連規定によって、送信設備に使用する電波の周波数の偏差および幅、高調波強度等の電波の質が規定されています。

出力の大きな送信機は火災、感電などの危険を伴うため、警報装置や電源回路などの保安上の規定も定められています。

実験ではその仕組みを学びます。また,その法規や運用についても学ぶことができます.

デジタル変調とは

デジタル変調(デジタルへんちょう)は、ディジタル情報通信などに使われます。デジタル方式の送信の仕組みは実験では光を使ったデジタル変調の実験を行います.

PCのシミュレーション

ノートパソコンのソフトウエアを使って,変調のシミュレーションを行います.現在では,多くのシミュレーションをPCで行うことができます.

そのシミュレーションと実際に作成した回路の特性を比較して,座学講義で学んだ内容との関係を考察することを実験の授業で行います.