光計測工学研究室

高知工科大学 田上研究室

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光を使った計測手法の開発やその応用に関する研究

レンズやミラーを使った自由空間(一切の物質が存在しない仮想的な空間)での光学系構築や, 光ファイバの接続・加工を通して,光と物質との相互作用を利用した計測に取り組んでいます。


研究

光を用いた磁界分布測定

アルカリ金属蒸気にレーザー光を透過させることで,磁界を計測しています。 アルカリ金属は周期表の一番左の列の元素で、融点がとても低く 常温で液体になります。 この磁界分布測定で使われるアルカリ金属はセシウムやルビジウムなどです。 磁界の測定方法は他にもありますが、それらは低温でなくてはならないなど 条件が厳しいのがネックです。 しかし、このアルカリ金属を使う方法ではアルカリ金属の性質より、常温で計測できます。
また、この技術は将来がん細胞を見つけることに利用できるかもしれないそうです!



ファイバーセンシング

光ファイバを用いて,物質の温度や振動、圧力などを計測しています。 産業やバイオといった多岐にわたる応用を目指しています。
応用例の一つに人工透析があります。人工透析とは簡単に言うと機能しなくなった腎臓の代わりに人工的に液体を体に送る治療法です。 その送る液体は人体に入れるということで安全が確約されなくてはなりません。 もちろん濃度を測る方法は既にありますが、例えば電極を入れて測定する方法だと電極がさびたりして、液体に影響を及ぼすので 電極を入れ替えたり機械自体を変えなくてはならないので、コストが大きいのが難点です。 それに対してこの光ファイバを用いた方法では光の屈折率を見るだけでわかるため、期待されています。


近赤外線分光法

赤外線より波長が少し長い近赤外光(人の目では見えません)を用いて, 脈拍や血管の流れと行った生命活動を見ることができます。 近赤外線は皮膚は透過しますが、ヘモグロビンは吸収するのでヘモグロビンだけ見え、 血流がわかります。
切開や注射の必要がないため,痛みをともなわずに身体の内部を診ることができます。 リハビリの評価や投薬による効果を評価できる装置の実現を目指しています。


インターネットオブプラント

農業と新プロジェクトをしています。
ハウス農業などにおいて、ハウスに入ってくる光の量を計測しているところは他にもありますが、 これはその光の波長をはかります。計測した波長のデータをサーバに送ることで様々なハウスのデータを蓄積します。
これにより野菜の種類ごとにその野菜に合った波長がわかり、おいしく栄養満点なお野菜ができやすくなるかもしれません!


オープンキャンパスの様子

オープンキャンパスでは、手に近赤外光を当て カメラを使いリアルタイムで画面に映して手の血管を見る実験をしていました。
私たちが普段見える光(可視光)の波長は400~700nmです。 この実験で用いた近赤外線の波長は850nmです。これは赤い光の波長よりも長い波長の光なので目には見えません。
人間の手で言うと手のひらの皮膚は近赤外線をあまり吸収しないそうです。 つまり、手のひらを近赤外線は透過します(カメラに写りません)。 ヘモグロビンは近赤外線を吸収し、近赤外線によって透過することなくカメラに写り ます。よって手のひらが透過して血管を画面上で見ることができます。
他にも、レンズや光源を自由に動かしてその光がどうなるかを実際に自分で動かして見てみる実験もしていました。 緑色の光が横に3つ広がっている画像では回折という現象が起きています。