宇宙に輝く特大花火を見てみよう! 〜WINDロケット実験〜


... Last update:2007/9/1

 観測の方法をアマチュア天文家向けに紹介します。

  • 観測データとするためには?
       今回の目的である風速の観測データとして重要な要素は、時刻精度と空間精度です。時刻精度は1秒以内の精度での記録が望ましいです。空間精度は視野の広さとトレードオフの関係にあります。今回のリチウム発光は急激に広がりますので、光学系の選択を慎重に考えてみてください。クローズアップを見るには中望遠レンズ程度、拡散後の全体像までを得たいなら余裕を持った広角レンズを選択すべきです。空間座標は背景の星の位置との関係を使い、三角測量で算出できます。背景の星を写すことも意識しつつ撮影しておいてください。観測点の経緯度・標高の情報も、リチウム発光の位置計測には必須の情報です。

  • どのような撮影機材を選ぶか?
       リチウム放出実験は国内では初めてであり、国内での発光の記録はこれまでありません。従ってどの観測機材を使うべきかという意味での実績はありません。最近はデジタルカメラが主流ですが、後述する理由もあり、昔ながらのフィルムカメラも選択肢の1つでしょう。フィルムはISO800以上の高感度を用いたほうがよいでしょう。
       時間分解能を稼ぐには、映像として記録する方法もあります。しかしDVカメラなど単体ではさほど感度はなく、星などを撮影することは一般的には厳しいと言えます。色は崩れますが、夜景モードなどを生かすと赤外側での感度が多少良くなります。高感度モノクロCCDカメラなど、星も写るような特殊な機材をお持ちの方は、試してみると良いでしょう。いずれにしても、目で見たように写すというのはなかなか難しいかもしれません。

  • 注意すべき点は?
       空間座標を得るためには背景の星の位置測定が重要ですが、今回のリチウム発光時点では夕空の背景光があるため暗い星は写らない可能性があります。もし鑑賞写真ではなく観測画像を残すことを意図されるならば、撮影後しばらくして完全な暗夜になってから、時刻を正確に記録しつつ星野写真を撮影しておいてください。地球の自転による星の日周運動の影響を避けるため、比較的短時間露出に留めることも必要です。
       ここ数年でデジタルカメラは爆発的に普及しており、撮影直後に画像を確認できるなど、撮影実績の無い場合の記録には適しています。しかし今回のリチウム共鳴散乱光は波長670.8nmの赤色光であり、赤外線に近い赤色であることを考慮する必要があります。通常のデジタルカメラに用いられているCCDやCMOSと呼ばれる電子撮像素子は元来は赤外線に近い赤色に敏感ですが、人間の目の感度特性にあわせるために赤外線カットフィルターが付加されています。このフィルターの特性はメーカーや機種により様々ですが、天文観測で有名なオリオン大星雲などの散光星雲の赤色よりも赤側の670nm付近での感度は、調査した数機種では10%程度しかないことが分かっています。街灯やクルマのライトなどの人工照明の直接光によるカブリには注意してください。
       時刻精度は、電話で117時報を聞いてデジタルカメラ等の時計を正確に(1秒以内で)合わせる、ビデオ録画の場合は時報に合わせて何らかの光を映しこんでおく、秒針まで合わせた時計(電波時計などもよいですね)を写す、時報の音を音声入力しておく、音声を聞きながらシャッターを押す(時刻記録のメモは別に必要)などの方法が考えられます。携帯電話の時報は電波状況により0.2秒程度のずれがありますので注意が必要です。

  • 撮影できたら。。
       もし撮影できた画像の科学観測データとしての活用を希望される場合は、どのような画像でも役立つ可能性はございます。これは皆さんが撮影された場所からの観測は他にはないからです。同時観測は多くの地点からの情報があればあるほど精度が上がったり、また予期せぬ現象を捉えたときの科学的考察の参考になります。ぜひ臆せずにご報告をお願いします。報告先は以下のとおりです。

       〒782−8502
       高知県香美市土佐山田町宮ノ口185
       高知工科大学 電子・光システム工学科
       山本真行 宛
       e-mail: yamamoto.masa-yuki (at) kochi-tech.ac.jp
      ※ (at) を @ に変えてください。

       皆様からの報告データについては、1件ずつ精度などをお尋ねしたりする可能性があります。風の計測では、時刻精度の十分でないデータの価値は格段に下がります。できるだけ正確な記録(メモなども含む)を残してください。他にはカラー写真などの色情報や光学系による違い、時間分解能の違いなどでも補助的または相補的データが得られる可能性があります。

  • 撮影画像の著作権等の扱いについて?
       個々に撮影者との間で協議すべき問題ですが、論文等に用いることが可能な程度の非常に価値のある画像の場合は、撮影者名を明記の上で文献への掲載をお願いさせていただく可能性もあります。他、学会発表や科学論文等への使用の場合は、謝辞に当該発表に使用したすべての方のお名前を掲載することを基本といたします。
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(c) Kochi University of Technology, 2007.