配線と接続 Wiring and Connection

2017-04-03

配線と接続

回路図は回路素子とその接続関係を表現するものであるため,素子間の接続関係を正確に表現することは非常に重要である. 配線が交差するか,接続するかを的確に表現できる記号として,交差には図1(a),接続には図1(b)が 用いられる. 複数の配線が接続していることを強調するために図1(c)のような描き方をすることもある. いずれ場合でも接続点には黒丸をつけ接続されていることを明確にする.

図1 配線の交差と接続
図1 配線の交差と接続

交差をあらわすために図1(d)のような記号が用いられることもあるが,奇麗に書くのが難しく煩雑になるため特別な場合を除いて使用しない方が良いだろう. 十字の接続でない図2(b)のようなT字型の接続の場合には,黒丸を省略しても問題ないと思われるが,表現を統一するために 図2(a)のように黒丸をつけたほうが良い.もちろん,図2(c)のように接続しているかどうかよくわからない 描き方をしてはいけない.

図2 配線の接続(T字)
図2 配線の接続(T字)

また,回路の入力,出力などには,図3(a),(b)のような端子をつけ,どこにもつながらない配線がないようにする. このような端子には信号名を付けるのが普通の使い方である.

図3 回路の入出力端子
図3 回路の入出力端子

特殊な配線

上に述べた様な単純な配線以外に図4や図5のような記号が使用されることがある. 図4は同軸ケーブルやシールドケーブルを表すために使われる記号である. このようなケーブルは規定の特性インピーダンスがあることを前提とした配線や 信号が微弱であるため雑音などが加わるのを防ぐ必要があるときに使用される. 同軸ケーブルとシールドケーブルの構造はほぼ同じで,芯線を網線やパイプによるシールド線で覆った構造になっている. このシールド線を接地することで,芯線を流れる信号の接地点との間のインピーダンスを一定の値としたり,浮遊容量を通じて雑音などが信号に 加わるのを防いでいる.

図4 同軸ケーブル,シールドケーブルを表す記号の例
図4 同軸ケーブル,シールドケーブルを表す記号の例

平衡信号を伝達するための複数の芯線のあるシールドケーブルやシールドが2重になったシールドケーブルも存在する. 同軸ケーブルは特性インピーダンスとしては50Ωや75Ωのものがよく使われるが,異なる値のものもある. また,LANケーブルのように同軸構造ではなく,2本の線を撚る(ツイステッドペアと呼ばれる)ことで規定の特性インピーダンスを実現したものもある. いずれにしても,これらのケーブルを必要とする配線にはケーブルの種類,特性についての記述が必要となる.これらのケーブルを表現する記号には 慣習的に用いられているものが多い.

図5はバス配線と呼ばれ,関連する複数の配線をまとめて扱うための記号である.

図5 バス配線を表す記号の例
図5 バス配線を表す記号の例

バス配線を回路図で使用する目的には(1)回路図の各部分に共通に接続されている信号をまとめて表現することで,回路図を見やすくする, (2)配線長をそろえるために実際に束ねた様な形で配線することを表現する,などがある. 図5ではバス配線を太い線で表現し,そこから分かれた個々の信号線を細い線で表現している.分岐している信号線には 個々に信号名を付ける必要がある.