高知新聞夕刊:発光ダイオード新作製法を確立高知工科大研究グループら 高知工科大学電子・光システム工学科の山本哲也助教授と高知高専電気工学科の岸本誠一講師、長岡技術科学大学(新潟県長岡市)の飯田誠之副学長らの半導体研究グループは二十三日までに、発光電子部品である発光ダイオードの新しい作製方法を確立した。フルカラーの発光が期待でき、実用化にこぎつければ、低コスト、高性能の画期的な照明、ディスプレーなどが実現できるという。 発光ダイオードは家電製品のランプにもよく用いられている。一般に、電子が余っている状態のN型半導体と、足りない状態のP型半導体を接合して作る。 赤、緑、青など多色の発光ダイオードが既に存在するが、青色の発光ダイオードは、高価で熱に弱い窒化ガリウムという半導体が用いられており、安価で高温にも強い半導体の登場が求められていた。 しかし、青色用はP型を作るのが非常に難しく、事実上、窒化ガリウム以外で実用的なP型は不可能とされていた。 山本助教授は、窒化ガリウムに代わる半導体として硫化亜鉛に注目。硫化亜鉛の薄膜に二種類の不純物を同時に混ぜ込む方法(同時ドーピング法)を用いると、一度にP型とN型を作ることができることを、量子力学に基づく特殊な計算で予見した。 岸本講師、飯田副学長らが実際に作製を試みたところ、見事に青色を発光することが判明。世界で初めて、硫化亜鉛のP型の成功となった。波長が短い青色が発光できれば、波長が長い他の色は比較的簡単に作り出せるため、フルカラーも期待できる。 山本助教授は「硫化亜鉛は一般にもよく用いられる安価な物質。実用化できれば低コストの発光電子部品が作れ、利用も低電力で済むはず。うまくいけば液晶ディスプレーに代わる発光表示装置にも応用できるのではないか。今後、綿密な実験と検証を行い、企業と共同研究で実用化の道を探りたい」と話している。 この予見の理論は欧米からも注目されており、山本助教授は四月に米国・デンバーで開催される半導体の国際シンポジウムで発表する予定。 実用化も可能 京大大学院工学研究科の藤田茂夫教授(電子物性工学)の話 まだ理論や初期実験の段階。信頼性が高く、再現もできる実験段階には至っていないと思う。ただ、今後の綿密な実証実験によっては、実用的なP型を実現することも不可能ではないだろう。 【写真】新手法の実証実験の進め方について話し合う高知工科大の山本哲也助教授=右=と高知高専の岸本誠一講師(土佐山田町の高知工科大)
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