1) 2004年10月20日17:00 台風23号の通過直後に出た虹.
撮影場所:高知工科大学
これほど明瞭な虹が見えるのは珍しい.主虹の外側に弱いながらも副虹が見える.
主虹の内側の空が外側より明るく見えること,赤から紫への並び方が
主虹と副虹で逆になっていることに注意.
2) 同上。右手の建物は講堂,左手の建物は本部棟。
-- なぜ虹が見えるか --
虹の現象は,幾何光学によっても説明されるが,波動としての光が球形粒子に
よって散乱されるとしたMie理論によっても説明される:
太陽からの光が水滴によって散乱されるときの散乱角度を次のように定義する。
水滴の直径を1mmとして光の波長が650nm(赤色)と400nm(紫色)の二つの場合に
ついて,Mie理論で散乱強度を計算すると,下のグラフに示すようになる。これを見ると
散乱角度が約138度の方向ではその付近の角度に比べ強い散乱が生じることが分かる。
この角度は太陽の方向から見ると 180−138=42°の方向になるが,波長によって
わずかにこの角度が違ってくるために散乱光が虹色に分かれて見えることになる。
同様にして副虹は129度(太陽の方向からは 180-129=51°)のあたりに現れる。
またこのグラフから主虹と副虹で色の並びが逆になることも分かる。
私の研究室ではこの水滴よりずっと小さい10ミクロン程度の液滴の光散乱を測定して
いるが,このような散乱についてもMie理論を適用して解析している。
* 直径1mmの水滴による光の散乱強度(Mie理論で計算したもの) *
波長の短い紫色と波長の長い赤色とで虹の出る角度がわずかに違う.主虹と
副虹では紫色と赤色の順序が逆になっているのが分かる.また,主虹と副虹の間で
は虹の内側(約138°〜180°)より暗くなることも分かる.
このグラフで紫色が赤色より散乱強度が強くなっているように見えるのは,見やすく
するために赤色のグラフを下にずらしているからである.
* 太陽の方向と 約42°をなす方向に主虹が,約51°をなす方向に副虹が現れる *
1月に菜の花が満開(2004/01/18 高知県伊野町にて).
下の写真も