宇宙花火を用いた熱圏の観測

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 地球の高層〜超高層大気のうち、高度80 km付近より上を熱圏と呼びます。熱圏には希薄な大気が存在し、この大気が惑星大気中でどのように動いているか直接調査する方法は非常に限られています。私たちは国内外の研究機関と協力して熱圏の風を精密計測する手法を開発しています。具体的には、観測ロケットからリチウム等の元素をガス化して放出することにより、上空で光り輝く発光雲を作ります。発光雲はしばらくの間は熱圏大気中で拡散しながら光り続けるため、これを地上や航空機から多地点同時(ステレオ)観測で連続撮影すれば、立体的な位置を把握でき、その時間変化の様子から熱圏の風を計測できるのです。
 TMA(トリメチルアルミニウム)は熱圏下部の酸素と反応して自己発光するため夜間の観測に適しています。この放出装置は米国Clemson大学が開発した機器で、国際共同実験としてオーロラの発生する北欧上空の熱圏大気中などで活躍しています。リチウム放出装置はJAXAと日本カーリットが開発した装置で、太陽光を受けて赤く輝きます。この光の観測装置は、本研究室、北海道大学、フォトコーディング社が共同開発しました。他にも、バリウムやストロンチウムを用いた観測手法の確立を進めています。
 本研究は、北海道大学、苫小牧高専、東北大学、情報通信研究機構、国立極地研究所、航空宇宙研究開発機構(JAXA)、名古屋大学・宇宙地球環境研究所、京都大学、同・生存圏研究所、日本カーリット株式会社、フォトコーディング社、および米国NASA、Clemson大学、アラスカ大学、ノルウエーAndoyaロケットレンジ、欧州EISCATレーダー等と協力しつつ、ロケット搭載機器のキャニスター、地上光学観測に関わるイメージャーの開発、関連する理工学にわたる幅広い研究活動を進めてきました。