2015-04-01
デシベル(\(\mathrm{dB}\))は量の比を対数で表す単位\(\mathrm{B}\)(ベル)に\(1/10\) をあらわす接頭語\(\mathrm{d}\)がついたもの. \(\mathrm{B}\)(ベル)は電話を発明したアレクサンダー・グラハム・ベルにちなんだ単位である.
電力比は,
\[ \frac{X}{y} \rightarrow 10 \log_{10}\frac{X}{Y} = 10(\log_{10}X-\log_{10}Y) \]であらわし,電圧比,電流比は,
\[ \frac{X}{y} \rightarrow 20 \log_{10}\frac{X}{Y} = 20(\log_{10}X-\log_{10}Y) \]であらわす.
対数を使うため,比率の計算を乗算,除算ではなく,加算,減算で行うことができるようになる. なお,ここでは電力,電圧,電流の比をあらわしているが,音圧比などでも使用される.
なぜ電圧,電流比は\(20\log_{10}(X/Y)\)で,電力比は\(10\log_{10}(X/Y)\)であるかは, 電圧源 \(V\)に負荷抵抗 \(Z\)が接続されているときに,負荷 \(Z\)で消費される電力を考える理解しやすい. 電圧\(V\)が \(6\mathrm{dB}\)(\(2\)倍)増えると, 負荷抵抗に流れる電流 \(I\)も\(6\mathrm{dB}\)(\(2\)倍)増えることになる. したがって,負荷抵抗 \(Z\)で消費される電力は\(4\)倍になり,\(6\mathrm{dB}\)増えることになる. つまり,負荷抵抗が同じ時電圧と負荷抵抗で消費される消費される電力のデシベル値が等しくなる. (図1)
よく使われるデシベル値と比率の対応を表1と表2に示す. この値の中で,最も良く使われるのは\(3\mathrm{dB}\)(電力比)または \(6\mathrm{dB}\)(電圧/電流比)である. 電力比 \(3\mathrm{dB}\)は正確には\(1.99526...\)倍であり,\(2\)倍は正確には \(3.01029...\mathrm{dB}\)であるが, 切りの良い値であるため\(3\mathrm{dB}\)を\(2\)倍としてあつかう.
Bは底が10である常用対数を使用しているが,比を表す単位としては自然対数の底eを使用したNp (neper ネーパ)という単位もある.
dB | 比率 | dB | 比率 |
---|---|---|---|
6 | 2 | -6 | 1/2 |
20 | 10 | -20 | 1/10 |
3 | \(\sqrt{2}\) | -3 | \(1/\sqrt{2}\) |
10 | \(\sqrt{10}\) | -10 | \(1/\sqrt{10}\) |
14 | 5 | -14 | 1/5 |
12 | 4 | -12 | 1/4 |
40 | 102 | -40 | 10-2 |
60 | 103 | -60 | 10-3 |
80 | 104 | -80 | 10-4 |
100 | 105 | -100 | 10-5 |
120 | 106 | -120 | 10-6 |
dB | 比率 | dB | 比率 |
---|---|---|---|
3 | 2 | -3 | 1/2 |
10 | 10 | -10 | 1/10 |
1.5 | \(\sqrt{2}\) | -1.5 | \(1/\sqrt{2}\) |
5 | \(\sqrt{10}\) | -5 | \(1/\sqrt{10}\) |
7 | 5 | -7 | 1/5 |
6 | 4 | -6 | 1/4 |
20 | 102 | -20 | 10-2 |
30 | 103 | -30 | 10-3 |
40 | 104 | -40 | 10-4 |
50 | 105 | -50 | 10-5 |
60 | 106 | -60 | 10-6 |
デシベル(\(\mathrm{dB}\))は2つの量の比を表す次元のない量であるが,絶対的基準値を定めて単位として用いることがある.
周波数,角周波数の比には oct,dec が使用される.oct は音程のオクターブと同じで2倍または1/2をあらわし, dec は10倍または1/10をあらわす.デシベル表示と組み合わせて,-6 dB/oct と書くと 周波数(また角周波数)が2倍になると(電圧比,電流比が)1/2になることをあらわす.なお,周波数の比率にはデシベル(dB)は使用されない. また, -6 dB/oct = -20 dB/dec である.