電力用半導体素子

2015-04-01

電力用半導体素子

ここでは,MOS FET以外の電力用素子についての記号を説明する. なお,大部分の電力用半導体素子はスイッチング素子である.

図1(a)はサイリスタ(Silicon Controlled Rectifier)と呼ばれる素子で,ゲート端子に制御信号を入力することで, 順方向の電流をオフ状態からオン状態にスイッチできる素子.(逆方向は普通のダイオードと同じでオフ状態) 図1(b)は双方向サイリスタまたはトライアックと呼ばれ,サイリスタを互いに逆方向に二つ接続したもので, 双方向の電流をスイッチできる.これらの素子はオン状態にスイッチすることは出来るが,電流を0付近まで下げないとオフ状態にすることが出来ないので 交流の制御に用いられる.また,スイッチングに必要な時間が大きいので主に商用電源(50Hzまたは60Hz)の制御に用いられる.

図1 電力用半導体の記号
図1 電力用半導体の記号

図1(c)は絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT : Insulated Gated Bipolar Transistor)と呼ばれる素子の記号である. サイリスタよりも高速に動作し,入力信号によりオン・オフでき, また,電力用MOS FETの様にオン抵抗による発熱の問題が少ないため大電力の高速スイッチングが可能な半導体素子である.